切らずに仕事をしながら治せる重粒子線治療

重粒子線治療 3つの特徴

①がん病巣に集中して照射
がんの部位に集中的にダメージを与え、周りの正常部位にはダメージが少ない治療です。副作用は一般の放射線治療に比べて少ない治療です。
②一般の放射線が効きにくいがんにも効く
エックス線に比べ、生物効果が強いことが知られています。たとえば、今までエックス線が効きにくいとされてきた骨肉腫にも効果を発揮します。
③短時間で治せる
短い治療期間(平均3週)で治療できます。今までの放射線治療で使われていたエックス線(6~7週)と比べて、治療のための照射回数を減らすことができます。そのため、早期の社会復帰が可能となります。

資料提供:放射線医学総合研究所

ほかの治療法との比較

外科療法 粒子線・放射線療法 化学療法
適応
  • 局所のがん
    (主に早期)
  • 局所のがん
    (早期~進行期)
  • 全身的ながん
    (転移のあるがん・血液のがん)
  • 局所のがん治療との併用
長所
  • 治す確実性が高いとされている
  • 機能と形態の欠損が少ない
  • 身体への負担が少ない
  • 早期がんの治療成績は外科療法と同等
  • がんの進行を抑えて延命効果が得られる場合がある
短所
  • 機能と形態の欠損が大きい
  • 部位、患者の条件(年齢・合併症など)により適応に限界あり
  • 粒子線治療費用は他治療法に比べて高い
  • 局所の副作用がおこる
  • 全身的な副作用がおこる

重粒子線治療のメリット

■手術と同程度の治療成果がある
正確に癌細胞のみを殺傷することが可能となり、手術と同程度の治療効果が証明されています。手術に不適格な場合でも放射線治療は可能な場合があります。一例として直腸がんの切除後に骨盤に転移した場合、手術不可となるが重粒子線で転移巣を消滅させることができます。近年特に死亡率が上昇している肺癌や、患者数が激増している前立腺癌に有効な治療法です。
■技術革新により適応範囲が拡大
頭頚部、肺、肝臓、前立腺、骨軟部、直腸(術後再発)、膵臓、子宮、食道などに発生する癌への良好な治療効果が認められています。今後の技術進歩により、乳腺等への部位の拡大やさらなる治療成績の向上も可能となります。
■短期間の治療により生活の質を確保
副作用がほとんどなく、手術が不可能な患者や高齢者にも治療効果を上げることができます。痛みを伴わずに短期間で外来での治療が可能となり、仕事や日常生活の制約が極めて少なくなります。
■従来の放射線治療との比較
従来の放射線では十分な線量を照射することが難しい場所のがんや、通常の放射線に対して抵抗力の強いがんに対しても重粒子線の効果が期待できます。

重粒子線によるがん治療症例

肺がん 照射回数:1回 治療期間1日

悪性黒色腫 照射回数:16回 治療期間4週

資料提供:放射線医学総合研究所

全国の重粒子線治療施設